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「ダークナイト ライジング」は駄作?賛否両論の理由とは

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賛否両論のダークナイト ライジング(2012)

クリストファー・ノーラン監督が手がけた「ダークナイト」シリーズは、バットマンの中でも高く評価されているシリーズです。

「バットマン・ビギンズ」(2005)ではバットマンがいかにして生まれたのかを丁寧に描き、ノーラン監督は「バットマン」シリーズの監督としての力量を示しました。
続いての「ダークナイト」(2008)では苦悩するバットマンと、ヒーローとしてのジレンマをもたらすジョーカーとの戦いをシリアスに描き、その評価は最高潮に。
そして最後の「ダークナイト・ライジング」(2012)では、大団円として締めくくる…はずが、公開直後からあちこちで賛否両論と言う結果に。

もちろん興行収入は「ダークナイト」を上回り、多くの批評家もプラスの評価を下しているのですが、それでも一部からは厳しい評価も聞かれます。今回はなぜ賛否両論な結果となってしまったのか、を解説します。

ダークナイト ライジングがだめなところ 1:ヒーローの葛藤が全くリアルでなくなってしまった

「バットマン・ビギンズ」でも「ダークナイト」でも観客に共感できるバットマンの葛藤がメインの物語と言えるものでした。それが「ダークナイト・ライジング」では観客の共感を失ってしまったのです。
例えば「ダークナイト」ではリアルなゴッサムシティを舞台に、バットマンが「自分の正義を貫くかどうか」という難しい判断を迫られていました。そこにあったのは、バットマンにも敵であるジョーカーも持っていた、「現実にもこんな人物がいそうだ」というある種のリアリティーでした。
しかし「ダークナイト・ライジング」の敵であるベインは、残念ながら我々一般人にとってあまり共感できることのない人物でした。そもそもその出自が「世界の果ての監獄」。なおかつバットマンの宿敵であるラーズ・アル・グールの愛弟子でもあります。つまり、あまりにも敵として出来過ぎているのです。

このような人物に私たち一般人が共感するのは難しいと言えるでしょう。観客は共感できる敵を失ってしまったのです。

ダークナイト ライジングがだめなところ 2:敵が役不足だった

これはそのまま「敵が役不足」ということを意味しています。特に前作のジョーカーと比べると、そのインパクトはかなり落ちると言わざるを得ません。

原作ではベインは申し分のない敵です。ベインはバットマンと対決して唯一、バットマンを破った男だからです。バットマンの背骨を折り、引退寸前にまで追い込みました。

この要素をそのまま使って実写版シリーズに登場させたのが失敗でした。前述の通り、ノーラン監督のシリーズでは「葛藤」がテーマになっています。しかしベインは言ってしまえばただの強敵。殴って倒す敵であり、葛藤をもたらすようなキャラクターではなかったのです。

強敵としてのベインは全く申し分のないキャラクターです。薬を注入するためのマスクをつけていたり、筋骨隆々な姿であったりと、この世のものでは無い強者と言う雰囲気が漂っています。しかしそこには観客と理解できる葛藤をもたらす要素が欠落しています。

ベインは敵としてあまりにも役不足であると言わざるを得ません。

ダークナイト ライジングがだめなところ 3:ストーリーが無駄に複雑だった

一度、本編を見ていただければ分かりますが、この「ダークナイト・ライジング」はストーリーが無駄に複雑です。いくつもの要素が絡み合っています。

  1. バットマンの復帰
  2. ゴッサムの腐敗と救済
  3. 真の敵との戦い

これらの3つの要素が複雑に絡み合って1つの3時間にも及ぶ物語になっているのです。しかし、ほとんどの観客にとってこれは複雑すぎました。
悪く言えば多くの要素をごちゃまぜにしすぎたせいで、それぞれの話の細部まで描ききれなくなったのです。つまりどれも中途半端だと言うことです。
その結果出来上がったストーリーは、重要そうなアイテムや人が出てきて一瞬で消えるというものでした。

代表的なものはキャットウーマンと「クリーン・スレート」です。
キャットウーマンはバットマンの相方であり恋愛対象です。ところが結局最後まで中途半端な役割を果たしつつ、バットマンのアシスト役だけで終わります。最後までこれといった印象を残すことなく終幕を迎えてしまいました。
もう1つの「クリーン・スレート」はインターネットからあらゆる個人的な履歴を消すことができると言う便利アイテムです。序盤で登場し、重要人物であるはずのキャットウーマンが追い求めています。しかし中盤のあるシーンで、さらりとその存在が否定されて終わるのです。重要そうなアイテムや人が出てきてはサクっと消えてしまうストーリーに、一部の観客や批評家はマイナス評価を下しているのです。

実は最強の敵であるはずのベインですら、その最後は極めて呆気ないものです。ベインがやられるシーンはなんとたったの数秒間。ワンカットしか使っていません。そもそもカメラがベインのほう向いてすらいません。最強の敵のはずが、どうでもいい脇役がやられるときのカットそのものなのです。

ノーラン監督はもっとストーリーをシンプルにすべきでした。そうすればもっと焦点が絞られた濃いストーリーになったと思われます。付け加えれば、3時間以上に及ぶ長い映画本編の長さも削れたはずです。

ダークナイト ライジングがだめなところ 4:脚本の粗さが目立った

ノーラン監督の脚本は綿密に組み立てられていることで有名です。代表作の「メメント」や「インセプション」では、その緻密なストーリーが話題になりました。しかし本作「ダークナイト・ライジング」ではどういうわけか、脚本の粗さが目立っていました

最も観客に大きな違和感をもたらした脚本の穴は「半年間も世界的な大都市であるゴッサムシティーが孤立するのにアメリカ政府は何もしない」ということです。もちろん文字通り何のアクションも取っていないわけではありません。僅かな特殊部隊を送り込んだり、戦闘機を飛ばしたりしていますが、本質的な解決策は全く採られていません。ゴッサムシティーは作中では世界的な大都市として証券取引所まで登場しています。アメリカ経済は大混乱、ひょっとしたら世界経済まで巻き込んで大混乱のはずです。にもかかわらず、アメリカ政府は半年間も何もしないのです。一言でも説明があればよいのですが、全く言及されてすらいません。これが作中のリアリティーを失わさせる結果になりました。

さらに、半年間も地下空間に閉じ込められていたはずの警官が外に出てきてもピンピンしていることです。一応、劇中でもこのことは「警察官だから士気はいつまでたっても低下しない」というセリフで説明されていました。この警官たちが最終的にゴッサムシティを救うことになります。よって脚本上どうしても必要な事はわかりますが、最低限のリアリティは守って欲しいものです。

さらにこれは完全に編集ミスとしか思えないのですが、わずか10分の間にいきなり昼間から夜になるシーンまであります10分と言うのは観客の時間ではなく作中での時間です。中盤で証券取引所からベイン率いる強盗グループが脱走するのですが、そのシーンは10分間と作中で説明されています。しかし逃走劇の序盤では明るかったはずの外が、10分経った終盤では完全に暗くなっているのです。

もっと言ってしまえば、ゴッサムシティという大都会のど真ん中で正義の味方であるはずのバットマンが核爆弾を作っていると言うことも大きな違和感につながっています。しかもその製造現場には万が一の非常用の手段として「爆弾そのものをゴッサムの河の水で満たす」というとんでもない手段まで用意されていました。万が一汚染が発生したらバットマンは正義の味方どころではなく、街中に放射能汚染をもたらした、れっきとした悪役になってしまうでしょう。

もちろんどんな脚本にも穴はあるものです。ノンフィクションでもない限り、完璧にリアルな脚本は存在しません。しかし、脚本を書く上でのある程度のリアリティは求められます。それは中世のヨーロッパを描く作品にいきなり自動車が登場するようなものです。フィクションであっても、ある程度のリアリティは守らなくてはなりません。しかしこの「ダークナイト・ライジング」の脚本の穴は、数回見ただけの観客に気づかれてしまうほどのものでした。

ダークナイトライジングが評価の低い理由のまとめ

いかがだったでしょうか。「ダークナイト・ライジング」の評価が賛否両論となっている理由を主に否定的な面からご紹介しました。

もちろん絶賛されている方も多く、そのような方の意見を否定するものではありません。むしろ売り上げとしては「ダークナイト」を上回っているので、商業的な映画としてはかなり成功していると言うことができます。

しかしこのような見方が存在していることも事実です。ある意味、「ダークナイト・ライジング」は賛否両論を巻き起こす複雑な映画だと表現することもできるのでしょう。
この記事を読んで気になった方はぜひ「ダークナイト・ライジング」を見直してみてはいかがでしょうか。

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